
Amazon真贋調査への対応手順と通る請求書の条件
公開: 2026/7/20 / 更新: 2026/8/2
目次
真贋調査による出品停止は、商品が完全に本物であっても発動します(英語では Inauthentic Complaint「非正規品の申し立て」と呼ばれます)。購入者のクレーム1件、非準拠の請求書1件、ブランドオーナーによる申告1件のいずれか1つでもあれば、Amazonは停止に踏み切ります。偽物であることの証明は必要ありません。復活の主な手段は、Amazonが定める5つの条件(365日以内の発行、販売数量を全量カバーしていることなど)を満たす請求書の提出です。条件を欠く書類は機械的に却下されやすいため、まず要件を正確に押さえることが復活への近道になります。
真贋調査とは何か、なぜ「本物」でも止まるのか
真贋調査とは、Amazonが出品商品の仕入れ経路の正当性を審査する手続きです。対象商品が偽造品かどうかとは独立に、クレームや申告があれば発動します。
Amazonのヘルプ・規約上のトリガー(出品停止のきっかけとなる条件)は主に次の3パターンです。
| トリガー | 特徴 |
|---|---|
| 購入者クレーム | 「偽物では」という申告。1件で停止が発動することがあります |
| ブランドオーナーの申告 | 商品が本物でも執行されます。裏取り(本当かどうかの確認)なしで機能します |
| セール直後の販売急増 | プライムデー等の後、短期間に異常な伸びがあった場合 |
なお、「請求書フォーマット不備」自体は出品停止のきっかけにはなりません。停止された後、復活を申請する際に提出した書類を審査する段階で、却下の理由になるものです。つまり、請求書の不備で停止するのではなく、請求書に不備があると停止から復活できない、という違いです。
実務上は、これに加えて別の要因も報告されています。ランダムチェック(抜き打ちで行われる審査)や、同業者による虚偽の申告です。これらは国内のセラーコミュニティ(日本人セラー同士が体験談などを共有するオンラインの場)で報告されている情報です。Amazonが公式に開示しているトリガーではないため、参考情報として把握しておく程度で問題ありません。
とくに見落とされがちなのが、ブランドオーナーが申告する場合です。Amazonの仕組み上、ブランド側に偽物であることの証明義務はなく、申告だけで停止が発動します。正規品を扱っていても巻き込まれることがある点を把握しておく必要があります。
POINTPOINT: 真贋調査は「偽物を売っているかどうか」の審査ではなく「仕入れ経路の正当性を証明できるか」の審査です。正規品でも証明書類がなければ停止は解除されません。
通る請求書の5条件
復活申請で最も重視されるのが請求書(インボイス)です。Amazonのヘルプが定める要件は、以下の5点に整理できます(セラーセントラルヘルプ)。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| ①発行日 | 通知受領日から遡って365日以内 |
| ②数量 | 対象ASIN(Amazonが商品1つに割り当てる10桁の商品コード)の過去365日の販売数量を全量カバー |
| ③サプライヤー情報 | サプライヤー(仕入れ先)の名前・電話番号・住所・ウェブサイトが明記されている |
| ④名称一致 | 出品者の法人名・住所がセラーセントラル登録情報と完全一致 |
| ⑤形式 | 編集不可のPDFまたは画像(.jpg/.png/.gif)。Word/Excelは不可 |
このうち②「販売数量を全量カバー」は見落としが多いポイントです。「最低何個」ではなく、過去1年間に実際に売れた個数をすべてカバーできる仕入れ量が請求書に記載されている必要があります。
何個分の仕入れを証明しなければならないかを把握するには、各ASINの販売実績を確認しておく必要があります。

セラサポの商品別売上画面では、ASIN単位で期間を指定して販売個数を確認できます。真贋調査の通知が届いたら、「過去365日でこのASINを何個売ったか」をすぐに確認できます。この数字を、請求書に記載された数量と照合する際に使えます。
これに加えて、ASINの商品識別子(型番・バーコード等)の記載と、書類が本物かつ改変されていないことも必要です。価格情報だけは削除(redact)してよいとされています。
見積書やプロフォーマインボイス(取引確定前の見積もり的な仮請求書)は対象外で、完了・履行済みの取引を示す書類である必要があります。Amazonがサプライヤーに直接連絡して、内容を検証することもあります。要件を満たさない場合や、サプライヤーが検証に応じない場合は却下されます。
小売店(家電量販店・ドラッグストア等)のレシートは原則として通りません。実際に、量販店発行の請求書を提出した食品カテゴリのセラーの例があります。「偽造・改ざんの疑い」をかけられ、アカウント閉鎖に至ったと国内フォーラム(日本人セラーが情報交換する掲示板)で報告されています(セラーセントラルフォーラム)。
POINTPOINT: せどり・転売・中古品の仕入れは、この5条件を満たす書類自体が存在しないケースが多く、構造的に真贋調査への対応が難しいといえます。
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「請求書」と消費税インボイス制度は別物
真贋調査で求められる「請求書(インボイス)」は、日本の消費税インボイス制度(適格請求書)とは別の概念です。真贋調査が求めるのは、仕入先が実在し、正規に販売した記録を示す商取引書類です。適格請求書発行事業者登録番号(消費税のインボイス制度に登録した事業者に割り振られる番号)の有無は、審査に関係しません。この混同は相談でもよく見られるため、対応時には切り分けて理解しておく必要があります。
請求書が用意できない場合の対応
小売仕入れなどで条件を満たす請求書を用意できない場合でも、道が完全に閉じるわけではありません。国内のセラーコミュニティでは、こうした場合の復活例も報告されています。購入経路を正直に説明したうえで、改善計画書(POA:アカウントに警告や停止を受けた際にAmazonへ提出する、原因と対策をまとめた文書)を提出する方法です。今後の仕入れ方針を示すことで、復活に至った例が報告されています。
POA(改善計画書)の書き方
POAは以下の3要素で構成します。
- 根本原因(何がきっかけで発生したか)
- すでに実施した是正措置(過去形・日付・数量つき)
- 再発防止策
重要なのは、「これからします」という未来形の宣言で終わらせないことです。日付・数量・証憑(裏付けとなる書類や証拠)つきの過去形で、「すでに実施しました」と書きます。曖昧な一般論は却下されやすい一方、仕入先請求書や認証書などの検証可能な証拠は、長文の説明より重視されます。
ブランドオーナー起因のクレームでは、請求書だけでは根本解決に至らないことがあります。この場合、権利者本人からの撤回(retraction:ブランドオーナーに、元のクレームを取り下げてもらうこと)を得るのが最も確実な手段です。撤回依頼は、元クレームと同じメールアドレス・ケースID(Amazonとのやり取りに割り振られる管理番号)・ASINの3点を明記して送ります。
POINTPOINT: POAは「謝罪文」ではなく「証拠つきの事実整理」です。汎用テンプレートをそのまま使うと却下率が上がります。
復活までの実行手順と注文履歴の確認
- トリアージ(状況を素早く仕分けし、優先順位をつけること): アカウント健全性(出荷遅延率や注文不良率など、出品者アカウントの状態を示す指標をまとめた画面です)ダッシュボードで、対象ASINと要求書類(請求書かPOAか、両方か)を確認します
- 請求書の点検: 5条件を1つずつ照合し、欠けている項目があれば補完します
- 請求書がない場合: 偽造せず、購入経路の正直な説明とPOAで対応します
- POA作成: 根本原因→実施済み是正措置→再発防止策の順に、証憑つきで記述します
- ブランド起因なら撤回を並走: 権利者への撤回依頼を同時に進めます
- 在庫の時限対応: FBA(Amazonの倉庫に商品を預けて、保管・配送・カスタマー対応を任せる仕組み)の在庫は自動廃棄前に返送申請(Removal Order)を検討します
- エスカレーション(対応する部署や担当のレベルを上げていくこと): 却下されても段階を守り、アカウント健全性サポート→再申立て→フォーラムの順で進めます
POAや請求書を準備する際、どの商品をいつ・何個売ったかを素早く把握できるかが鍵になります。SKU(出品者が自分で付ける商品の管理番号)単位で販売実績を追えていると、停止発生時の対応が早くなります。

セラサポの注文画面では、期間を指定して注文明細を確認できます。ASIN・SKU単位で販売数量を把握しておくことで、請求書の数量要件との照合がスムーズになります。デモ画面で実際の動作を確認できます。
復活までの期間は状況により大きく異なります。ASINレベルの削除であれば数日以内に判断が出ることもありますが、複雑な案件では数週間かかることもあります。国内フォーラムでも、正規代理店の請求書を提出しても1ヶ月以上かかった例が報告されています。一方で、2週間で解除された例もあり、振れ幅が大きいのが実情です(セラーセントラルフォーラム)。
アカウント健全性の警告が届いた時の初動については、「アカウント健全性の警告対応」も参考にしてください。

こちらの記事もご参照ください
Amazon出品停止の解除手順と価格ポリシー
適正価格設定ポリシーによる出品停止の仕組み、段階的な処分の流れ、予防と復旧の実行手順を解説します。
請求書の偽造は禁じ手
請求書が用意できないからといって、テンプレートを使って請求書を偽造・改ざんして提出するのは絶対にやめてください。
Amazon規約は「本物かつ改変されていない書類の提出」を義務づけています。そのため偽造書類の提出は、真贋調査を突破する行為ではありません。むしろ、停止を確定させる行為になります。日本法上は私文書偽造罪(刑法159条)に該当する可能性があります。印鑑や署名のある書類を偽造する「有印私文書偽造」は3ヶ月〜5年の懲役、印鑑や署名のない書類を偽造する「無印私文書偽造」は1年以下の懲役または10万円以下の罰金が規定されています(e-Gov法令検索・刑法)。
Amazon側の措置も、通常の真贋調査による停止とは異なります。返送申請すら受け付けられず、全FBA在庫が没収されて一定期間後に自動廃棄される可能性があります。売上金も没収される可能性があると、国内セラーコミュニティで報告されています。
POINTPOINT: 小売店の請求書に手を加えて体裁を整える行為も、店舗印や手書き情報があるほど「偽造・改ざん」を疑われるリスクが高まります。加工するくらいなら、請求書なしで正直に事情を説明する方が対応の余地があります。
まとめ
- 真贋調査は商品が本物でも発動し、ブランド側に偽物の証明義務はありません
- 通る請求書は①365日以内②販売数量を全量カバー③サプライヤー連絡先④登録情報と名称一致⑤編集不可PDF/画像の5条件です
- せどり・転売・中古品は請求書要件を満たしにくく、構造的に不利です
- 請求書がなくても正直な説明とPOAで復活した例はあります
- 請求書の偽造は復活率を上げず、刑事罰とFBA在庫没収というリスクを招きます
セラサポでは、ASIN・SKU別の販売実績や注文履歴を毎日自動で集計しています。停止通知を受け取った際に「何個売ったか」をすぐ確認できる状態を整えておくと、請求書の準備が早まります。詳細はこちら。
よくある質問
真贋調査の通知が届いたら、まず何をすべきですか
アカウント健全性ダッシュボードで対象ASINと要求書類(請求書かPOAか、両方か)を確認します。期限が設定されている場合は、通知受領時から時計が動いているため即座に着手する必要があります。期限はセラーセントラルの通知画面でご確認ください。
請求書の価格情報は隠してもよいですか
価格情報のみ削除(redact)することは認められています。ただし発行日・数量・サプライヤー情報・商品識別子など、それ以外の情報はすべて明示されている必要があります。
メーカーの卸元から仕入れているのに停止されました。なぜですか
ブランドオーナーによる申告は、真正性の裏取りなしに執行される仕組みのため、正規品を扱っていても巻き込まれることがあります。この場合は請求書の提出に加え、権利者本人からの撤回を得ることが根本解決に近い対応です。
復活までどのくらいかかりますか
状況により大きく異なります。数日で判断が出ることもあれば、1ヶ月以上かかるケースも国内フォーラムで報告されています。期限や進捗はセラーセントラルのアカウント健全性画面でご確認ください。
中古品を扱う場合、真贋調査への対策はありますか
中古品・せどり・転売は仕入れ経路の証明書類を用意しにくく、構造的に不利です。可能な限り、メーカーや正規代理店からの仕入れに切り替えることが望ましいです。また、請求書が取れないSKU(出品者が自分で付ける商品の管理番号)は自主的に出品を削除し、他の在庫への延焼(他の商品まで巻き込まれること)を防ぐ対応が実務上提案されています。
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