Amazon広告の入札戦略の選び方|フェーズ別に使い分け

Amazon広告の入札戦略の選び方|フェーズ別に使い分け

公開: 2026/9/21

スポンサープロダクト広告(検索結果や商品ページに、自社の商品を個別に表示する広告です)の入札戦略には「動的な入札-ダウンのみ」「動的な入札-アップとダウン」「固定入札額」の3種類があります。

結論から言うと、商品の成長段階に合わせて使い分けるのが実務の型です。成果データがまだ乏しい新商品期は、CPC(クリック単価。1回クリックされるごとに実際に発生する広告費用です)が無駄に上振れしないよう「固定入札額」または「ダウンのみ」を選びます。育成期は「ダウンのみ」で無駄クリックを絞り込みながら、伸びているキーワードだけ個別に増額します。刈り取り期は「アップとダウン」に切り替えて、売れる機会を取りこぼす「機会損失」を防ぎます。

動的な入札とは何か

動的な入札とは、コンバージョン(商品が購入されること)の見込みに応じてAmazonが入札額をリアルタイムで自動調整する仕組みのことです。キャンペーン単位で3つの戦略から1つを選びます。

戦略Amazon側の自動調整設定値からの上振れ
動的な入札-ダウンのみ成約しにくいと判断された場面で自動的に引き下げるなし(設定値を超えない)
動的な入札-アップとダウン成約見込みが高ければ引き上げ、低ければ引き下げるあり(検索結果最初のページ上部で最大+100%、その他の枠で最大+50%)
固定入札額自動調整なしなし

「ダウンのみ」は、2019年1月にアップとダウン・固定額入札の選択機能が追加される以前は全キャンペーンの標準設定でした。運用歴の長いアカウントでは、戦略を意識せず作られた古いキャンペーンが「ダウンのみ」のまま放置されているケースもあります。心当たりがあれば、一度棚卸ししておく価値があります。(出典: atara)

POINT

POINT 「アップとダウン」で上がる幅は掲載枠によって違います。検索結果の最初のページ上部は最大+100%、それ以外の掲載枠は最大+50%までです。「どの枠でも一律2倍」という理解は誤りなので、予算計画の際は枠別の上限で試算してください。

「掲載枠ごとの入札額調整」との違いに注意

入札戦略とは別に、「掲載枠ごとの入札額調整」という機能もあります。これは「検索結果ページの上部」と「商品ページ」の2枠に限って、基準となる入札額に対し+0%〜+900%まで引き上げ率を指定できるものです。「検索結果のその他のページ」はこの調整の対象外です。

この掲載枠調整は3つの入札戦略のいずれとも併用でき、両者が連動して最終的な入札額が決まります。「アップとダウン」の上振れ(最大+100%)と掲載枠調整(最大+0〜900%)は互いに掛け合わさります。両方を強めに設定すると、実際のCPCが想定を大きく超えるおそれがあります。

たとえば固定入札50円に掲載枠調整+900%を重ねると、理論上は500円まで跳ね上がり得ます。掲載枠調整を使う場合は、基本入札を「固定」か「ダウンのみ」に寄せてから倍率を足すのが定石です。(出典: picaro)

広告のクリック単価とコンバージョンを分析するイメージ

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新商品期・育成期・刈り取り期で選ぶ戦略

商品ライフサイクルのフェーズによって、最適な入札戦略は変わります。各フェーズの判断には、CVR(購入転換率。商品ページを見た人のうち、実際に買った人の割合です)の推移を目安に使います。実務では次の3段階で整理されています(Amazon公式がフェーズ名を定義しているわけではなく、複数の広告代理店の実務知見を組み合わせた整理です)。

フェーズ状態向く入札戦略理由
新商品期レビュー数・検索順位が育っておらず成果データが不安定固定入札額 または ダウンのみ「アップとダウン」だと不十分なデータで自動増額され、想定以上に広告費が消化される
育成期手動ターゲティング(狙うキーワードや商品を自分で指定する方式)への切り替え・CVRの低いキーワード除外を進める段階ダウンのみ+伸びている語句だけ個別増額無駄クリックを抑えつつ成果の良い部分だけ攻める
刈り取り期CVRが高く安定した売れ筋キーワード・商品ターゲットが定まっているアップとダウン+掲載枠調整機会損失(広告の表示回数=インプレッションの取りこぼしや、他社との入札競争=オークションでの負け)を防ぎ、成果の良い枠へ自動配分を強める

新商品期はまずオートターゲティング(Amazonが自動で検索語や表示先を選ぶ方式)の低予算運用でキーワードと掲載面のデータを集める段階です。この時期の広告設計は次の記事でも詳しく解説しています。

こちらの記事もご参照ください

新商品発売30日の初速の作り方【時系列】

新商品ローンチから30日間の実務手順を時系列で解説。事前準備・広告予算・Vine・価格戦略まで、数字の根拠つきで具体的に説明します。

刈り取り期はスポンサーブランド広告(検索結果の上部にロゴと複数商品をまとめて表示する、ブランド登録者向けの広告です)も併用する考え方があります。売上シェアの獲得を狙い、予算を成果の良い広告に集中させます。(出典: jagoo)

切り替えのタイミングと検証方法

入札戦略は一度決めたら固定ではなく、フェーズの進行に合わせて切り替えます。実務では次の目安が使われています。

  • 運用初期は「ダウンのみ」から開始する
  • 7日間で50件以上の注文が得られたら「アップとダウン」への切り替えを検討する
  • 切り替え後はCPA(広告費÷注文件数。注文1件を獲得するのにかかった広告費です)の上昇に注意しながら必要に応じて入札額を手動調整する
  • 2週間後の成果で継続可否を判断し、悪化していれば元の戦略に戻す

戦略の比較検証では、同一構成のキャンペーンを並行して走らせる分割テスト(同じ条件のキャンペーンを2本同時に動かして比較する方法)はおすすめしません。既存の実績あるキャンペーン1本で戦略を切り替え、1〜2週間単位で比較する方法が推奨されています。似た設定のキャンペーンを複数並行で走らせると、自社広告同士が同一ターゲットで競合し、データが歪むためです。(出典: ayudante)

POINT

POINT 戦略のA/Bテストのつもりで同一構成のキャンペーンを2本並行運用すると、自社競合でデータが歪みます。比較は必ず1本のキャンペーン内で期間をずらして行ってください。

ここまでの入札戦略の切り替えやキャンペーンの見直しは、セラーセントラルとAmazon広告コンソールを行き来しながら手作業で行うと手間がかかります。セラサポの広告キャンペーン管理なら、実績を見ながら同じ画面で日予算・入札額の変更や配信オン/オフを直接行えます。変更ログと効果検証レポートも自動で残るため、戦略切り替え前後のCPC・ACOS(広告費÷広告経由の売上。広告の費用対効果を表す指標です)の比較がしやすくなります。

入札額そのものの決め方

戦略を選ぶ前提として、そもそもの入札額(目標CPC)を決めておく必要があります。目安となる計算式は次の通りです。

目標CPC=販売価格 × 目標ACOS × 想定CVR

たとえば販売価格3,000円・目標ACOS20%・想定CVR2%の場合、目標CPCは12円になります。この目標CPCの80〜90%程度の水準から入札を開始し、段階的に調整するのが実務目安です。

目標ACOSは粗利益率から逆算するのが基本です。目安は、粗利益率30%なら目標ACOS20%前後、40%なら25%前後、50%なら30%前後です。セール・クーポン期間は実効利益率が下がるため、通常時より低めに設定すべきです。(出典: cyber-records)

自社の損益分岐ラインから目標ACOSを正確に引き直す方法は、次の記事にまとめています。

こちらの記事もご参照ください

損益分岐ACOSの計算方法|手数料込みで逆算

損益分岐ACOSは原価だけでなくAmazon手数料まで引いて算出します。計算式・具体例・目標ACOSの決め方を数字つきで解説します。

マッチタイプ(どこまで表記が一致する検索語に広告を出すかを決める設定)間でも入札額に差をつけるのが基本です。「完全一致」は登録した語句とほぼ同じ検索語だけに、「フレーズ一致」は語順を保ったまま前後に他の語が付いた検索語にも、「部分一致」は語順や表記が違っても関連する検索語に広く表示されます。「オート」はAmazonが自動で関連語を判断する設定です。完全一致は入札額を高め、フレーズ一致は中程度、部分一致・オートは控えめに設定するのが基本です。詳しい使い分けは「Amazon広告マッチタイプの使い分け方」で解説しています。

計算した目標CPCやマッチタイプごとの入札方針は、書き留めておかないと運用中に迷いがちです。セラサポの競合調査画面では、キーワードごとに目標入札額・戦略・メモを保存できるため、広告設定に着手する際にすぐ見返せます。

「ダウンのみ」なのに入札額より高いCPCが出るという報告

日本語版セラーフォーラムには、「動的入札額(ダウンのみ)」を設定していてもレポート上は入札額より30〜50%高いクリック単価が発生したという投稿があります。一方で別のセラーからは「上振れすることはない設定のはず」という反論もあります。別の回答者は、広告担当者への確認結果として「入札額50円・競合入札30円なら実際の単価は31円になる」というオークション形式による説明を紹介しています。

Amazon側の公式な原因説明は確認できていないため、断定はできません。自社アカウントで同様の事象を見つけた場合は、まずレポートの集計単位や掲載枠調整の併用有無、入札戦略の設定そのものを確認してください。それでも説明がつかなければ、テクニカルサポートに個別に問い合わせるのが確実です。(出典: Amazonセラーフォーラム(日本))

注意点

入札戦略の選択自体は、Amazon広告コンソールが用意している正規の設定オプションの範囲内です。規約違反リスクを伴うグレーな手法ではありません。ただし運用面では次の点に注意が必要です。

  • 入札戦略の上振れ(最大+100%)と掲載枠調整(最大+0〜900%)が連動すると、想定外の広告費消化につながります。Amazon広告には月額上限で自動停止する機能がありません。そのため、日次予算の設定と日次モニタリングが必須です
  • 切り替え直後の数日で判断せず、最低1〜2週間のデータで比較します
  • 本記事の数値(アップとダウンの+100%/+50%、掲載枠調整の+0〜900%)は日本の広告代理店の情報に基づいています。公開時期が古い記事も含まれるため、施策実行前に広告コンソールの設定画面で最新の仕様を確認してください

よくある質問

入札戦略はいつでも変更できますか

キャンペーン設定画面からいつでも変更できます。ただし変更直後は成果が安定しません。最低1〜2週間は様子を見てから、次の判断をするのが実務目安です。

新商品のうちから「アップとダウン」にしてはいけないのですか

禁止されているわけではありません。ただし成果データが乏しい段階でAmazonの自動調整に任せると、不十分なデータに基づいて入札額が引き上げられ、想定以上に広告費が消化されるリスクがあります。データが蓄積してからの切り替えが実務では推奨されています。

「固定入札額」と「ダウンのみ」はどちらを選べばよいですか

CPC上限を厳密にコントロールしたい、または狙った掲載枠への露出を精密に制御したい場合は「固定入札額」が向いています。無駄クリックを抑えつつ、Amazonの自動判断にある程度任せたい場合は「ダウンのみ」が向いています。どちらも設定値を超えて上振れしない点は共通です。

掲載枠調整と入札戦略は同時に使ってよいですか

併用できます。ただし両者は連動して最終入札額を決めるため、先に「基本入札額×掲載枠倍率」で理論上の上限を試算してから設定することが重要です。

まとめ

入札戦略は「ダウンのみ」「アップとダウン」「固定入札額」の3種類で、キャンペーン単位で選びます。新商品期はデータ不足による自動増額を避けるため固定またはダウンのみを選びます。育成期はダウンのみで絞り込みながら個別増額し、刈り取り期はアップとダウンで機会損失を潰します。これが段階的な使い分けの実務の型です。掲載枠調整との二重増幅に注意しながら、7日50注文・2週間判定といった目安を使い、既存キャンペーン1本で切り替えて検証してください。

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