ブランド登録に商標は必須?出願中でも申請できる条件

ブランド登録に商標は必須?出願中でも申請できる条件

公開: 2026/7/25 / 更新: 2026/8/2

Amazonのブランド登録は、商標がなければ取得できません。ただし登録が完了している必要はなく、政府の商標庁に出願中(pending)の商標があれば申請可能です。登録完了まで数ヶ月〜1年近くかかるケースが多いため、まず出願だけを済ませてpending状態で申請するのが実務上の定石です。

ブランド登録の必須条件とは

ブランド登録とは、Amazon上のブランド名・商品ページを保護するための公式プログラムです。取得すると、A+コンテンツ(商品ページの下部に画像と文章を組み合わせて掲載できる、ブランド登録者向けの機能です)やブランドストア(自社ブランド専用のページを作成できる機能です)が使えるようになります。さらに、相乗り(他の出品者が、自社が作った商品ページに同じ商品として出品してくることです)を排除する機能も使えるようになります。

必須条件は、出品予定国のAmazonストアに対応する政府の商標庁が発行した商標を保有していることです。商標は、有効な登録商標、または出願中の商標出願のどちらでも構いません。商標は文字商標(word mark)か、文字・数字を含む画像ベースのデザイン商標である必要があります。

POINT

POINT 商標「登録完了」は必須条件ではありません。出願中(pending)の段階でブランド登録への申請ができ、審査完了を待つ必要はないとAmazon公式が明記しています。

出願中(pending)でも申請できる

申請時に提出が必要な情報は、次の5点です。

提出項目内容
ブランド名商標登録情報と完全一致するもの
ロゴ画像画像ベース商標の場合のみ
商標番号登録番号または出願番号(pendingの場合)
恒久表示画像ブランド名が製品・パッケージに恒久的に表示されている証拠
商品カテゴリー一覧出品予定カテゴリー

出典: Amazon出品サービス公式

日本のJPO(日本国特許庁)の場合、出願から30〜40日程度でデータベースに反映され、申請可能になるとされています。

なお、Amazon IP Accelerator(Amazonと提携する法律事務所が、決められた料金で商標出願をサポートしてくれる公式プログラムです)を使わず、自分でJPOへ直接出願する方法もあります。この場合、pending商標がそのまま申請に使えるかどうかを、申請フォーム上の記載だけで判断するのは難しい場合があります。出願番号やステータスがJ-PlatPat(特許情報プラットフォーム)などの特許庁データベースで検索可能になっているかを事前に確認しましょう。反映が確認できてから申請すると、差し戻しのリスクを減らせます。

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却下される3大理由と対策

ブランド登録の審査で却下される理由は、実務記事でもほぼ共通して次の3点が挙げられています。

却下理由具体例対策
ブランド名の表記揺れ全角半角・スペース有無・句読点・大文字小文字の不一致商標登録情報・出品ブランド名・パッケージ表示を完全一致させる
商品画像に商標が写っていないロゴが恒久表示になっていない、撮影角度で見えない刻印・印刷箇所が確認できる画像を用意する
名義不一致商標権者とセラーアカウントの名義が異なる出願段階で名義を統一する

出典: brandagent

POINT

POINT ブランド名は1文字のズレでも不一致とみなされ却下対象になります。出願前に商標登録情報・出品名・パッケージ表示の三者を突き合わせておくと、再申請の手戻りを防げます。

「恒久的表示」の要件は厳格

ブランド登録が求める「恒久的表示」とは、製造工程で製品またはパッケージに施された表示を指します。具体的には、印刷・縫い付け・刻印・レーザーエッチング・成形などが当てはまります。一方、シール・貼付ラベル・下げ札・スタンプのように後から着脱できる表示は「恒久的」とは認められません。これは却下理由の代表例になっています。

製品パッケージにブランドロゴが印刷された箱を手に持つ様子

そのため、パッケージデザインの初期段階でロゴ印刷を組み込んでおく必要があります。後からシールで対応しようとすると、審査で差し戻される可能性が高くなります。この恒久表示の要件は、ブランド登録取得後に使える相乗り排除ツール「Report a Violation」(他の出品者による相乗り出品をAmazonへ通報できる、知的財産権侵害の通報ツールです)でも同様に重視されます。通報の際は、カタログ画像で刻印箇所が確認できることが条件になります。

出願区分は第1〜34類が基本

商標出願は、実際に販売する商品区分(第1〜34類)で行うのが基本です。第35類(小売等役務。商品そのものではなく「小売サービス」を対象とする区分です)のみでの出願は、商品そのものへの権利保護が及ばない可能性があります。専門家からは、ブランド登録の却下や将来的な取消につながるリスクが指摘されています。それだけでなく、不使用取消審判(一定期間その商標が使われていないと、第三者が取り消しを求められる審判制度です)によって、商標自体が取り消されるリスクもあるとされています(出典: tizai-jien)。

第35類のみでの出願がブランド登録で実際に却下・取消された一次情報は確認できていません。こうした出願方法を採る事業者も存在しますが、推奨はできません。 現状はAmazonが受理するケースがあるとされる一方、保護が及ばないリスクを抱えたまま運用することになるためです。

費用と期間の目安

日本で商標出願を行う場合の費用・期間の目安は次のとおりです。

項目日本JPO
基本出願費用自分で出願する場合、印紙代1区分28,400円程度〜
弁理士依頼の場合報酬5万〜15万円+手数料で総額12万〜17万円程度
審査期間の目安出願から登録まで6〜12ヶ月、早期審査で約2ヶ月に短縮可能

登録後は10年ごとの更新費用も発生します。そのため出願時点で、更新料まで含めた総コストを弁理士(商標や特許の出願を専門にサポートする国家資格者です)に確認しておくと、予算計画が立てやすくなります。

ブランド登録自体の審査期間にも幅があります。案内されている目安期間はあくまで目安であり、本人確認書類の追加提出を求められた場合はさらに時間がかかることがあります。日本語版セラーセントラル(Amazonの出品者向け管理画面です)のヘルプページで最新の審査目安を確認しておくと安心です。

在庫入荷や広告開始のスケジュールを組む際は、公称の期間だけでなく数週間単位で余裕を持たせておくのが安全です。

出願中に取得すると取り消されるリスク

出願中の商標でブランド登録を先取りした場合、特許庁の審査で拒絶査定(商標登録を認めないという、特許庁の最終的な判断です)が確定すると、ブランド登録自体が取り消されます。その場合、作成済みのA+コンテンツやブランドストアも白紙に戻ってしまいます(出典: brandagent)。

POINT

POINT pending取得は機会損失を防ぐ有効な手段です。ただし、拒絶査定が出ればA+コンテンツ・ブランドストアが白紙に戻るリスクとセットになっています。対策としては、識別力(他の商品と混同されにくい、商標としての強さです)のある造語を商標名に選ぶことが重要です。また、拒絶理由通知(このままでは登録を認められない、と特許庁から伝えられる通知です)が届いたら、意見書(反論を伝える書面)や補正(出願内容を修正すること)で速やかに対応できる体制を整えておく必要があります。

商標がない場合、今できること

商標を取得していない状態でも、「ノーブランド品」(商標登録のない状態で行う出品です)としての出品自体は可能です。ただし、他セラーによる相乗り出品や商品ページの改変を防ぐ手段がありません。ブランド登録の知的財産権侵害通報ツール(Report a Violation)も利用できません(出典: toreru)。

相乗り出品を受けた場合、当面の代替ルートも存在します。例えば、テスト購入で相違点を証拠化し、ガイドライン違反として通報する方法があります。また、自社撮影画像を無断使用されている場合は、著作権侵害として申告する方法もあります。ただし、これらは商標を持つケースに比べて、対応が遅く不確実になりがちです。

ブランド登録は、相乗り排除の機能だけの前提ではありません。A+コンテンツやブランドストア、ブランド分析(SQP。検索キーワードや競合との比較が見られる、ブランド登録者向けの分析メニューです)、比較テスト(MYE。商品ページの画像やタイトルの効果を比較できる、ブランド登録者向けの機能です)といった機能すべての前提になっています。取得後にこうした指標を横断的に管理・確認する場面では、セラサポのようなツールを使うと運用の手間を減らせます。

倉庫で商品を梱包し発送準備をする様子

さらに2026年3月31日以降、ルールが変わります。メーカーバーコード(UPC/EAN/ISBN等)でFBA(Amazonの倉庫に商品を預けて、保管・配送・カスタマー対応を任せる仕組みです)出品する場合、ブランド登録登録済みかつブランド代表者の権限(ブランドの公式代表者として認証されたアカウントの状態です)であれば、FNSKU(Amazonが個々の商品に貼り付ける、出品者を識別するための固有バーコードです)ステッカーの貼付なしで仮想追跡が可能になります。ブランド登録未登録のセラーは、例外なく全ユニットにFNSKUラベルの貼付が必要になります。そのため、ブランド登録の位置づけは「取得推奨」から「実務上ほぼ必須」に変わりつつあります。

申請までの実行手順

  1. 区分を決める:実際に販売する商品区分(第1〜34類)で出願する。
  2. 識別力のある商標名を選ぶ:一般名称や記述的な表示は拒絶理由が出やすいため避ける。
  3. 出願する:自分でJPOに出願するか、Amazon IP Accelerator経由で提携法律事務所に依頼するかを費用とスピードで比較する。
  4. 恒久表示を作り込む:パッケージ・製品にロゴを印刷・刻印し、カタログ画像でその箇所が確認できるように撮影する。
  5. 三者一致を確認する:商標登録情報・出品ブランド名・パッケージ表示の表記を完全一致させる。
  6. pending反映後にブランド登録へ申請する:出願番号を使って申請し、審査には数週間かかる前提でスケジュールを組む。
  7. 拒絶理由通知が来たら即対応する:意見書・補正で速やかに応じ、ブランド登録取消を防ぐ。

よくある質問

商標が「出願中」の段階でもブランド登録は使えますか

使えます。対応国の商標庁に出願中(pending)の商標があれば申請可能で、登録完了を待つ必要はありません。ただし審査で拒絶査定が確定すると、取得済みのブランド登録ごと取り消される点に注意が必要です。

商標登録にはどのくらいの期間がかかりますか

日本の場合、出願から登録まで通常6〜12ヶ月程度です。早期審査制度を利用すると約2ヶ月に短縮できるケースがあります。早期審査を利用するには、出願と同時に事情説明書(早期審査を申請する理由や証拠をまとめた書類です)を提出する必要があります。また、すでにその商標を使用している事実など、所定の要件を満たす必要があります。

商標がなくてもAmazonで販売はできますか

販売自体は「ノーブランド品」として可能です。ただし相乗り出品や商品ページの改変を防ぐ手段がなく、ブランド登録の知的財産権侵害通報ツールも使えません。

商標出願の区分を間違えるとどうなりますか

実際に販売する商品区分(第1〜34類)ではなく第35類(小売等役務)のみで出願すると、商品への権利保護が及ばない可能性があります。ブランド登録の却下や、将来の不使用取消審判のリスクが専門家から指摘されています。

Amazon IP Acceleratorとは何ですか

Amazon認定の法律事務所と出品者を直接結び、事前提示の上限料金で商標出願の支援を受けられる公式プログラムです。IP Accelerator経由の出願は、ブランド登録への早期アクセスに有利とされています。

まとめ

ブランド登録の取得には商標が必須ですが、登録完了を待つ必要はなく、出願中(pending)の段階で申請できます。却下を避けるには、商標登録情報・出品ブランド名・パッケージ表示の三者を完全一致させることが重要です。また、ロゴは恒久的な印刷・刻印で表示する必要があります。出願区分は実際に販売する第1〜34類で行い、第35類のみの出願は避けるのが安全です。2026年3月末のFNSKU制度変更もあり、ブランド登録は早めに着手しておく価値のある基盤といえます。

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