
在庫日数の計算と発注点の決め方
公開: 2026/7/20 / 更新: 2026/7/26
目次
在庫日数とは、現在の在庫が今のペースで売れ続けた場合に何日分の在庫が残っているかを示す指標です。
発注点は「あと何個まで減ったら次の発注を出すか」を決める在庫数量です。日販数×リードタイム+安全在庫で計算します。ここでのリードタイムは、発注してから在庫が届くまでにかかる日数のことです。安全在庫は、急な需要増加や納期の遅れに備えてあらかじめ余分に持っておく在庫を指します。
欠品が起きると、その商品を買いたかった人に売れないという直接の機会損失が発生します。さらに、Amazonの検索結果でのランキング低下も招きます。一方で過剰在庫を抱えると、FBA(Amazonの倉庫に商品を預けて、保管・配送・カスタマー対応を任せる仕組みです)の保管手数料が増えます。あわせてIPI(在庫パフォーマンス指標。FBA在庫の健全性を点数にしたもので、低いと納品できる量に制限がかかります)のスコアも悪化します。欠品と過剰在庫、どちらの損失が大きいかを比較しながら発注点を調整することが必要です。
在庫日数の計算式
在庫日数は次の式で求められます。
POINTPOINT 在庫日数=現在庫数 ÷ 直近の平均日販数。分母の日販数は直近30〜90日の平均を使うのが基本です。セール直後などは一時的に数字が跳ねます。そうした期間をそのまま含めると平均日販が実態より高く出てしまうため、除外して計算します。
例えば現在庫が300個、直近30日の平均日販が10個なら、在庫日数は30日です。この数字自体に良し悪しはなく、発注してから在庫が届くまでの日数であるリードタイムと比較して初めて意味を持ちます。リードタイムが45日のセラーにとって在庫日数30日は「すでに欠品が確定している」状態です。
発注点の計算式
発注点(Reorder Point)は、在庫がこの数量まで減ったら次のロットを発注する、という基準数量です。
POINTPOINT 発注点=(日販数×リードタイム日数)+安全在庫。安全在庫は需要変動とリードタイム変動を吸収するための予備の在庫です。需要を予測しにくい商品ほど、安全在庫を厚めに積む必要があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 日販数 | 直近30〜90日の平均販売数 |
| リードタイム | 発注〜製造〜輸送〜FBA納品完了までの合計日数 |
| 安全在庫 | 需要変動・リードタイム遅延に備えるバッファ在庫 |
| 発注点 | 日販数×リードタイム+安全在庫 |
日販10個、リードタイム60日、安全在庫を15日分(150個)とした場合、発注点は10×60+150=750個です。在庫が750個まで減った時点で次のロットを発注しないと、リードタイム中に欠品する計算になります。
セラサポでできること
手数料がいくら引かれたか、商品ごとに見えていますか
セラサポなら、販売手数料・FBA配送料・保管料を商品ごとに集計します。原価を登録すれば「この商品は広告費をいくらまで使えるか」まで自動で出ます。
欠品と過剰在庫、どちらの損失が大きいか
発注点を決める際に迷うのが、安全在庫を厚くして過剰在庫のリスクを取るか、薄くして欠品のリスクを取るかという判断です。両者の損失の性質はまったく異なります。
| 比較軸 | 欠品のリスク | 過剰在庫のリスク |
|---|---|---|
| 直接損失 | 販売機会の消失(売上ゼロ) | FBA保管手数料の増加 |
| 間接損失 | 検索順位・ランキングの低下 | IPIスコア低下→保管制限 |
| 発生タイミング | 在庫切れの瞬間から即発生 | 保管日数の経過とともに段階的に増加 |
| 回復の速さ | 再入荷後すぐに回復しうる | 処分完了まで手数料が発生し続ける |
欠品はカート獲得の実績を毀損し、再入荷後も検索順位が戻りにくいという性質があります。カート獲得とはカートボックス(商品ページの「カートに入れる」ボタンの獲得権)を得ることです。同じ商品を複数の出品者が売っている時に、誰の商品が売れるかを決める仕組みです。一方で過剰在庫は、保管期間が延びるほど段階的に損失が膨らむ遅効性の損失です。FBAの保管手数料は271日を超えると長期在庫追加手数料が加算され始め、366日以上になるとさらに単価が上昇します。具体的な料率はセラーセントラルの料金表でご確認ください。つまり過剰在庫の損失は「持ち続けるほど利率が悪化する」構造であり、早期の判断が損失を小さく抑えるカギになります。

IPIスコアから見る発注点管理の重要性
Amazonは大口出品者の在庫管理効率をIPI(在庫パフォーマンス指標)という0〜1000のスコアで評価しています。大口出品者とは、月額の利用料を払う「大口出品」プランの契約者のことで、多くのブランドセラーがここに該当します。このスコアが閾値400を下回ると、納品容量の制限と在庫保管超過手数料が課される仕組みです(出典: Amazonセラーセントラル ヘルプ)。
IPIは4つの要素で構成されており、そのうち2つが発注点管理と直接関係します。
| IPIの構成要素 | 発注点管理との関係 |
|---|---|
| 余剰在庫の割合 | 保管日数90日超と需要予測モデルが見込む在庫。安全在庫の積みすぎで悪化 |
| FBA販売率 | 過去90日の出荷実績÷平均出荷可能在庫。過剰在庫で低下 |
| 有効な出品情報がない在庫の割合 | 発注点管理と直接の関係は薄いが放置すると低コストで改善可能 |
| FBA在庫ありの割合 | 欠品が多いと低下。発注点を割ると即座に悪化する要素 |
POINTPOINT 余剰在庫の判定基準は「保管日数90日超」です。発注点の安全在庫を積みすぎると、この90日ラインに引っかかりIPIを押し下げます。逆に発注点を割って欠品を続けると「FBA在庫ありの割合」が下がり、こちらもIPIを押し下げます。発注点は両方向のリスクを同時に管理する数字だと理解しておく必要があります。
IPIスコアは実績を定期的に反映して更新されるため、発注点を見直した効果がスコアに反映されるまでには数週間程度の時間差があります。スコアが400に近づいてから慌てて対応するのは避けましょう。余裕のある水準のうちに、セラーセントラルのIPIダッシュボードで発注点の妥当性を定期的に点検しておくことが実務上重要です。
保管日数のしきい値と発注量の見直しタイミング
過剰在庫を長期化させないためには、FBAの保管日数しきい値を発注量の見直しトリガーとして使うのが実務的です。
| 保管日数 | 発生する事象 |
|---|---|
| 90日超 | IPIの「余剰在庫」判定対象になり始める |
| 271日 | 長期在庫追加手数料が発生開始(判定日はセラーセントラルの料金表で確認) |
| 366日 | 追加手数料の単価がおよそ2倍に上昇 |
| 15か月 | Amazonが返送・廃棄を強制実施する場合がある |
追加手数料の判定は月次で行われるため、処分の判断は余裕を持って前もって済ませておく必要があります。判定日の詳細はセラーセントラルの料金表で確認してください。発注点の設計段階で「この数量で仕入れると何日で売り切れるか」を試算しておきましょう。90日を超える見込みなら発注ロットを見直すか、繁忙期(10〜12月)の前に在庫を圧縮するといった対応が有効です。日本のFBA保管手数料は10〜12月になると、1〜9月のおよそ1.8倍まで上がります。この時期に売れ残りを持ち込むこと自体が、損失を拡大させる原因になります。
実行手順
- FBA在庫管理レポートから現在庫数・直近30〜90日の販売数・保管日数を抽出する
- リードタイム(発注〜FBA納品完了までの実測日数)を過去の発注履歴から確認する
- 発注点=日販数×リードタイム+安全在庫を商品ごとに算出する
- 発注点に基づき発注した場合の着荷後在庫日数を試算し、90日を超えないか確認する
- IPIダッシュボードで余剰在庫比率とFBA販売率を月次で確認し、発注点にフィードバックする
この一連の突き合わせ作業は手作業だと商品数が増えるほど負担が大きくなります。日販数・リードタイム・保管日数を横断して発注点を自動算出するような指標の突き合わせは、セラサポのような分析ツールを使うと効率化できます。
注意点
安全在庫の日数は需要変動が大きい商品ほど厚くする必要がありますが、厚くしすぎるとIPIの余剰在庫比率を押し上げます。逆にリードタイムが長い商品(海外製造など)で安全在庫を薄くすると、需要が想定より伸びた際に即座に欠品します。発注点は一度決めたら固定するものではなく、直近の販売実績とリードタイムの実測値を反映して定期的に更新する運用が前提です。また、長期在庫の271日・366日のしきい値や超過手数料の実額は改定される可能性があるため、最終的な金額はセラーセントラルのFBA料金シミュレーターで確認してください。
よくある質問
在庫日数と発注点は何が違うのか
在庫日数は「今の在庫が何日でなくなるか」を示す現状把握の指標です。発注点は「次の発注をいつ出すべきか」を判断するための基準数量で、リードタイムと安全在庫を加味して計算します。
安全在庫は何日分が適正か
需要変動の大きさとリードタイムの安定性によって異なり、一律の正解はありません。需要が読みにくい商品やリードタイムが不安定な商品ほど、安全在庫の日数を厚めに設定する必要があります。
IPIスコアはすぐに改善するのか
反映には時間差があるため、発注点を見直してもスコアに反映されるまで数週間程度かかることがあります。400を下回ってから対応するのではなく、余裕がある段階で継続的に点検することが重要です。
欠品と過剰在庫、どちらを優先して避けるべきか
一律の優先順位はなく、商品の利益率・リードタイムの長さ・保管日数のしきい値までの余裕度で判断します。ただし過剰在庫の損失は、保管日数が延びるほど段階的に拡大する性質があります。判断を先送りするほど損失が大きくなりやすい点は、欠品にも過剰在庫にも共通しています。
まとめ
在庫日数は「現在庫÷平均日販数」、発注点は「日販数×リードタイム+安全在庫」で計算します。欠品は即座に売上機会とランキングを失う損失です。一方で過剰在庫は、保管日数の経過とともに手数料とIPIスコアが段階的に悪化するという、性質の異なる損失です。271日・366日といったFBAの保管日数のしきい値と、定期的に更新されるIPIスコアを、発注点の点検タイミングに組み込みましょう。そうすることで、欠品と過剰在庫、両方の損失を小さく抑えることができます。
見るだけで終わらせない、Amazon運用ツール。
商品ごとの損益分岐ACOS・無駄な広告費の金額表示・在庫連動の自動制御まで。 広告の予算も入札もカタログも、この画面から直せます。
個別のAPI申請は不要。連携はボタン1つで、すぐにデータの取得が始まります。7日間、全機能を無料でお試しいただけます。
セラサポを詳しく見るあわせて読みたい
Amazon価格改定ツールの選び方と改定頻度の決め方
自動価格改定ツール(リプライサー)の選び方を3つの軸で解説。価格フロアの計算方法、値上げ・値下げのリスクの違い、改定頻度の決め方を商材の特性別に整理します。
FBAと自己発送の損益分岐点はどこか
FBAと自己発送(FBM)、どちらが得かはサイズと回転率で変わります。手数料の内訳とカートボックスへの影響から判断基準を解説します。
インボイス制度でAmazon手数料と仕入の消費税はどう変わるか
インボイス制度がAmazon手数料と仕入の消費税控除に与える影響を、経過措置の最新スケジュールと2026年改正内容とともに整理します。
Keepaの使い方|価格・ランキング履歴の読み方
Keepaの価格・ランキング・在庫・出品者数グラフの読み方を解説。仕入れ判断や価格改定、競合監視への具体的な活かし方と、鵜呑みにできない注意点も紹介します。