IPIスコアと保管制限|下がる原因と回復手順

IPIスコアと保管制限|下がる原因と回復手順

公開: 2026/7/20 / 更新: 2026/8/11

IPI(在庫パフォーマンス指標)とは、Amazonが大口出品者を対象に、FBA在庫の管理効率を0〜1000のスコアで評価する仕組みです。FBAとは、Amazonの倉庫に商品を預けて、保管・配送・カスタマー対応を任せる仕組みのことです。閾値は400で、これを下回るとFBA倉庫へ納品できる容量が制限されます。容量が制限されると、思うように商品を倉庫へ送れなくなり、販売機会を逃すおそれがあります。ただし低IPI自体がアカウント停止や商品ページの非表示を招くことはなく、影響は納品可能量の制限にとどまります。

回復に向けては、最短で効果が出るのがストランデッド在庫の解消です。ストランデッド在庫とは、有効な出品情報がひも付いていないFBA在庫のことです。中長期では、余剰在庫の圧縮が効いてきます。余剰在庫とは、今のペースで売っても90日以内に売り切れないと見込まれる在庫のことです。

IPI・容量制限・超過手数料は別物

まず整理すべきなのは、似た名前の3つの制度を混同しないことです。IPIは毎週月曜に更新される「効率スコア」です。**容量制限(Capacity Limit)**は月ごとに設定される、「倉庫に納品できる体積の上限」です。**在庫保管超過手数料(Storage Utilization Surcharge)**は、長期間動きが悪い在庫にかかる「追加コスト」です。

この3つは連動する場面もありますが、制度としては別物です。しかも、この制度は2020年、2021年、2023年、2024年と繰り返し変更されています。そのため、ネット上の記事は「どの時点の話か」を書かないまま、古い数字を紹介していることが少なくありません。

POINT

POINT IPI=週次の効率スコア、容量制限=月次の納品上限、超過手数料=長期滞留への追加コスト。この3つを分けて考えるだけで、ネット上の古い情報に振り回されにくくなります。

日本では2024年10月1日に運用が大きく変わりました。従来は、四半期ごとにIPI基準を満たしていない出品者だけを対象に制限をかけていました。これが、全出品者を対象に月ごとに容量制限を設定する方式へ移行しました。同時に、従来の「FBA在庫保管超過手数料」を廃止したともアナウンスされています。出品者同士が情報交換する掲示板(フォーラム)では、ある数字がよく紹介されています。それが「超過手数料は1立方メートルあたり31,727円」というものです。この数字は、制度変更前の過去の値である可能性が高いといえます。

IPIを構成する4つの要素

IPIは単純な合成式ではなく、4つの要素をAmazonが非公開の重み付けで評価しています。重み付けとは、どの要素をどれくらい重視するかの配分のことです。各要素の重み付けは公開されていませんが、それぞれの定義は次の表のとおりです。

要素定義目安・計算例
余剰在庫の割合保管日数90日超と見込まれる在庫保有数量−(1日あたり平均販売数×90)
FBA販売率(Sell-Through)過去90日の出荷点数÷FC(Amazonの配送センター)平均在庫数100点÷40点=2.5(良好)、100点÷200点=0.5(低回転=売れ行きが遅い)
ストランデッド在庫の割合有効な出品情報がないFBA在庫÷FBA在庫総数×1004要素の中で最も反応が速い
FBA在庫あり率過去30日「在庫あり」だった時間の加重平均(時間の長さに応じて重みをつけた平均)補充可能商品が対象

スコア帯の目安としては、400未満が危険域(保管制限リスク)、400〜500が要注意域、500〜800が健全域とされています。ただし、800以上での具体的な優遇内容については、Amazon公式での一次確認が取れていません。

倉庫に積み上げられたダンボール箱の在庫

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IPIが下がる主な原因

実際にスコアを下げる要因は、この4要素それぞれの悪化です。特に影響が大きいとされるのは次の2つです。

余剰在庫の増加は、90日分の見込み販売数を超える在庫を抱えたまま放置することで生じます。需要予測よりも仕入れ量が多く、動きの遅いSKU(出品者が自分で付ける商品の管理番号です)が積み上がっている状態です。

ストランデッド在庫は、有効な出品情報が存在しないFBA在庫のことです。出品削除や、バリエーション(色やサイズ違いをまとめる機能です)統合時のミスなどで発生しやすい在庫です。4要素の中では、最も反応が速い項目とされています。

在庫切れが多くFBA在庫あり率が低いことも、IPIを押し下げる要因になります。欠品は「販売機会を逃している」だけでなく、スコア面でも不利に働きます。

古い日本フォーラムの投稿では、IPI740の内訳が「余剰在庫70%/FBA販売率55%/出品情報なし在庫100%/在庫あり25%」と共有されていました。あわせて「6か月以上売れない在庫は返送し、1〜2か月で売れる分だけ定期納品する」という対応が紹介されています。ただしこれは約5年前の投稿であり、現行のスコアの計算方法とは異なる可能性が高い点には注意が必要です。

回復までの実行手順

回復の手順は、反応の速い項目から着手するのが基本です。順番を守ることで、限られた時間で最大の効果を出せます。確認は、セラーセントラル(Amazonの出品者向け管理画面です)の「容量モニター」という画面で行います。ここでIPIスコアや4要素の内訳、容量上限をまとめて見られます。

手順内容反映スピード
① 現状確認容量モニターでIPIと4要素の内訳、現在の容量上限を確認する-
② ストランデッド解消出品情報の再登録・削除申請・新規出品作成を行う最速(次の週次更新に反映)
③ 余剰在庫の圧縮動きが遅い在庫の下位20%から、値下げ・バンドル(複数の商品をセットにして販売すること)・返送や廃棄を行う中期
④ 欠品対策発注点(在庫がこの数を下回ったら追加発注する目安の数量)の見直しや、販売終了予定のSKUを「補充対象外」に設定する中期
⑤ 継続監視毎週月曜の更新でトレンドを追い、400を割る前に対策を打つ継続
POINT

POINT ストランデッド在庫の解消は低コストかつ即効性が最も高い一手です。まずここから着手し、余剰在庫の圧縮は焦って一斉値引きせず下位20%から段階的に進めます。

余剰在庫の圧縮については、返送と廃棄の損益分岐点や処分の選択肢を具体的に比較する必要があります(→FBA保管手数料を下げる実務)。IPI対策は、容量制限がかかる前に手を打つ「上流」の対策であり、長期在庫の後始末とは表裏一体の関係にあります。

回復期間の目安として、あるブログでは「IPI350からスタートして400台後半〜500に到達するまで6〜10週間かかった」という記述があります。ただしこれは実名・日付付きの事例ではなく、一般的な目安として紹介されているものです。IPIは90日ローリング平均で計算されます。90日ローリング平均とは、直近90日間のデータを対象に、日々計算し直す平均のことです。そのため、直前だけ帳尻を合わせても過去の実績が重く残り、短期間では大きく動きません。発注量や回転率(在庫がどのくらいのペースで売れて入れ替わっているかを示す割合です)を日常的に管理し続ける方が、結果的に近道になります。

ノートパソコンで在庫データやグラフを確認する様子

こうした4要素の内訳や容量制限の推移を定期的に突き合わせる作業は手間がかかるため、セラサポのような分析ツールで自動化している事業者もいます。

容量が足りないときの選択肢

IPI改善には時間がかかります。そのため、改善している間に容量が不足しそうな場合は、無理な値下げ処分に走る前に別の手段を検討しましょう。具体的には、Amazon Warehousing and Distribution(AWD)や、自社倉庫・3PLをオーバーフロー先として使う方法です。AWDはAmazonが提供する大型の長期保管倉庫サービス、3PLは自社以外の物流会社が倉庫保管や配送を代行してくれるサービスのことです。オーバーフロー先とは、FBA倉庫に入りきらない分の在庫の置き場所のことです。

追加の容量が確実に売れる見込みがあるなら、容量マネージャーで、立方フィートあたりの予約手数料に入札するという選択肢もあります。容量マネージャーとは追加の納品枠を申し込むための画面、立方フィートは体積の単位、入札とは希望する金額を提示して確保を申し込むことです。実際に売れた分については、パフォーマンスクレジットによって、予約手数料が最大100%相殺されます。パフォーマンスクレジットとは、販売実績に応じてAmazonから還元される仕組みのことです。(出典: Amazonセラーセントラル ヘルプ

注意すべきリスク

IPIを短期間で操作しようとする行為には注意が必要です。四半期末や月次判定の直前だけ、架空の注文や自己購入でセルスルー率(先ほどの表で説明したFBA販売率のことです)を水増しするような手法があります。こうした手法は、Amazonの出品者行動規範が禁止している不正操作にあたるおそれがあります。こうした手法を使う事業者も存在しますが、推奨はできません。今回の調査では、IPI操作そのものが直接の原因となったアカウント停止の事例は確認できていません。ただし90日ローリング平均のため、小手先の操作をしても効果は薄く、下手に手を出すとより重い不正操作の問題に発展するリスクがあります。

また、容量制限やIPI悪化を回避する目的で、同一の事業者が複数の出品者アカウントを運用することも正当な理由にはなりません。発覚時は、関連する全アカウントが連鎖停止される可能性があります。

POINT

POINT スコア操作の近道はありません。ストランデッド解消と余剰在庫の段階的圧縮という地道な手順が、結果的に最も確実で速い回復ルートです。

まとめ

IPIスコアは0〜1000で評価され、閾値400を下回ると納品容量が制限されますが、アカウント停止には直結しません。回復はストランデッド在庫の解消が最も速く効き、余剰在庫の段階的な圧縮と欠品対策を組み合わせることが基本です。制度は日本で2024年10月に月次容量制限へ移行しているため、古い記事の数字ではなく容量モニターの現在値を必ず確認してください。

よくある質問

IPIスコアはどこで確認できますか

セラーセントラルのFBAダッシュボード(FBAの状況をまとめて見られる画面です)内、容量モニターの画面で現在のIPIスコアと4要素の内訳、容量上限を確認できます。

IPIが低いとアカウント停止になりますか

低いIPIスコア自体はアカウント停止や商品ページの非表示の直接原因にはなりません。影響はFBA倉庫への納品可能量の制限に限定されます。

「1立方メートルあたり31,727円」の超過手数料は今も課されますか

日本では2024年10月1日に従来の在庫保管超過手数料が廃止されたとアナウンスされているため、この数字は制度変更前の過去の値である可能性が高いです。実額は容量モニターやセラーセントラルのヘルプページで確認してください。

IPIスコアはどのくらいの頻度で更新されますか

毎週月曜日に、直近90日間の実績(90日ローリング平均)に基づいて更新されます。

回復にはどれくらいの期間がかかりますか

ストランデッド在庫の解消は次の週次更新で反映されやすい一方、余剰在庫の圧縮など全体的な回復には数週間単位の時間がかかる傾向があります。90日ローリング平均のため、短期間の帳尻合わせでは大きく動きません。

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