
AmazonのSKU別ABC分析|売れ筋と死に筋の仕分け方
公開: 2026/10/3
目次
ABC分析とは、SKU(出品者が自分で付ける商品の管理番号です)ごとの売上構成比を計算し、累積で並べる手法です。これにより、売れ筋(Aランク)・見せ筋(Bランク)・死に筋(Cランク)の3段階に仕分けます。
Amazonでは売上金額だけでランクを決めると危険です。手数料や広告費がかさむせいで、実際には赤字のSKUを「売れ筋」と誤判定してしまうことがあります。そのため評価軸には売上と粗利の両方を使い、ズレが出たSKUを優先的に点検するのが実務での正しい使い方です。
ABC分析の基本的な考え方
ABC分析(重点分析)は、評価軸(売上など)ごとに各SKUの構成比を計算し、降順に並べて累積構成比を出す手法です。累積構成比が70%程度までをAランク、70〜90%または95%程度までをBランク、残りをCランクに分類します。
手順は次の4段階です。
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| ① 評価指標を決める | 売上金額・粗利・注文件数など |
| ② 構成比を算出する | 各SKU÷全体の合計 |
| ③ 累積構成比で分類する | 70%まではA、90〜95%まではB、残りはC |
| ④ パレート図で可視化する | 棒=構成比、折れ線=累積構成比 |
POINTPOINT 70/90/95%という区切りは一般的な小売の慣例であり、Amazon公式が推奨する基準ではありません。SKU数やカテゴリーに応じて自社の区切りを調整してかまいません。
売上だけで判断すると赤字SKUを「売れ筋」にしてしまう
Amazonでは、カテゴリー別の販売手数料率、保管料、広告費など複数のコストがSKUごとにかかります。特に重いのがFBA(Amazonの倉庫に商品を預けて、保管・配送・カスタマー対応を任せる仕組みです)の配送代行手数料です。金額は、商品のサイズ・重量区分によって変わります。保管期間が271日を超えると、長期在庫追加手数料も上乗せされます。
これらのコストの重さはSKUごとに異なるため、売上金額だけでABC分析を組むと事故が起こります。売上は上位でも手残りがほとんど残らないSKUを「Aランク」と判定し、そこに広告費を追加投下してしまうのです。
この構造は特に単価帯によって手数料の重さが変わるため、低価格帯の商品では採算設計そのものを見直す必要があります。

こちらの記事もご参照ください
低価格帯商品のFBA手数料と黒字化する価格設計
1,000円以下の商品はFBA手数料の負担が重く赤字になりやすい価格帯です。600円・750円・1,000円という3つの手数料境界と、黒字化する価格設計・仕入れ量の決め方を実際の手数料表と試算で解説します。
実務では、第一の評価軸を**貢献利益(売上−仕入原価−販売手数料−FBA関連費用−広告費−返品コスト)**にします。補助軸として、注文頻度や在庫保管コストも併記するのが有効です。
売上軸と粗利軸の両方でABCを作成し、ランクがズレたSKU(売上はA、粗利はC)を最優先の点検対象にします。こうすることで、感覚的な在庫・広告配分から抜け出せます。
セラサポでできること
手数料がいくら引かれたか、商品ごとに見えていますか
セラサポなら、販売手数料・FBA配送料・保管料を商品ごとに集計します。原価を登録すれば「この商品は広告費をいくらまで使えるか」まで自動で出ます。
SKU別データの取り方(セラーセントラルの無料レポート)
SKU単位のABC分析に必要なデータは、セラーセントラルの無料レポート2本で足ります。
| レポート | 取得できる情報 |
|---|---|
| ビジネスレポート「商品別詳細ページ 売上・トラフィック」 | SKU(子ASIN)別のセッション数・ページビュー・注文された商品点数・注文商品売上・ユニットセッション率(注文数÷セッション数) |
| トランザクション「注文レポート」 | 注文日・注文番号・SKU・数量・単価・返金情報 |
セッションとは、商品ページが訪問された回数のことです。同じ人が短時間に何度見ても1回と数えます。ページビューとは、ページが表示された回数のことです。同じ人が3回見れば3回と数えます。これらは、ビジネスレポートにもとから入っている数値です。
両レポートは同一期間でダウンロードします。そのうえで、SKU表記のゆれ(半角と全角、「A-001」と「A001」など)を正規化してから結合します。この前処理を雑に行うと、同じ商品が別SKUとして二重計上されます。その結果、「売れていないSKU」が実際より多く現れる原因になります。

ここまでがセラーセントラルでSKU別データを手作業で揃える手順です。セラサポには「商品ごとの売上」という機能があります。ASIN(Amazonが商品1つずつに割り当てている10桁の商品コードです)別に、売上・個数・アクセス・転換率が分かります。広告経由と自然検索の内訳まで、1つの画面でまとめて確認できます。レポートのダウンロードや表記ゆれの統一といった前処理も不要になります。
さらに「原価登録・収益レポート」で商品1個あたりの原価を登録すると、月ごとの利益の推移が自動で算出されます。これを使えば、売上軸だけでなく粗利軸のABC分析もすぐに組めます。
ランク別に在庫と広告費をどう寄せるか
ABCのランクは「売上の大小」そのものではなく「次に何をするか」を決めるために使います。
| ランク | 在庫の方針 | 広告費の方針 |
|---|---|---|
| A(売れ筋) | 欠品させない。在庫を厚めに持つ | キーワード・ASINターゲティングで積極配分 |
| B(見せ筋・新星) | 伸び率を見ながら育てるか判断 | 認知拡大目的の自動ターゲティングを優先 |
| C(死に筋・低パフォーマンス) | 撤退ラインの3条件で処分を検討 | 広告調整より先に商品ページ改善を優先 |
この見極めには、複数のレポートのデータを同じSKUで並べて比べます。使うのは次の3種類です。ビジネスレポートのSKU別売上・転換率。広告レポートのACOS(広告費÷広告経由の売上で、広告の費用対効果を表す指標です)とTACOS(広告費÷商品全体の売上で、広告の売上全体への重さを見る指標です)。そしてIPI(在庫パフォーマンス指標です。FBA在庫の健全性を点数にしたもので、低いと納品できる量に制限がかかります)に関するデータ(余剰在庫・FBA販売率・在庫あり率)です。
これらを並べると、特に重要な2つのパターンが見えてきます。ひとつは売れているのに在庫が薄いSKUで、欠品リスクがあるため在庫を厚くすべきAランクです。もうひとつは在庫が多いのに売れていないSKUで、保管料リスクがあるため撤退・処分を検討すべきCランクです。
欠品は販売速度の喪失につながり、検索順位にも中期的な影響を及ぼします。

こちらの記事もご参照ください
Amazon売れ筋ランキングの仕組みと見方
売れ筋ランキングは金額ではなく販売個数の「勢い」で決まります。更新頻度・ベストセラーバッジの条件・101位以降の確認方法を実例つきで解説します。
POINTPOINT 新規商品や季節商品の立ち上げ期は、売上構成比だけで見ると小さくCランクに見えがちです。構成比ではなく伸び率や発売からの経過日数で見極め、育つ前に広告を切らないようにします。
発売直後の高ACOSは想定内の範囲であることが多く、焦って広告を止めるとBランクに育つ前に商品を潰してしまいます。

こちらの記事もご参照ください
新商品発売30日の初速の作り方【時系列】
新商品ローンチから30日間の実務手順を時系列で解説。事前準備・広告予算・Vine・価格戦略まで、数字の根拠つきで具体的に説明します。
ACOS・TACOSの目安は、業界内でも割れている数値があります。しきい値をそのまま基準にするより、SKUごとの損益分岐ACOSから逆算するほうが精度の高い判断ができます。損益分岐ACOSとは、広告を使っても損をしないACOSの上限のことです。

こちらの記事もご参照ください
損益分岐ACOSの計算方法|手数料込みで逆算
損益分岐ACOSは原価だけでなくAmazon手数料まで引いて算出します。計算式・具体例・目標ACOSの決め方を数字つきで解説します。
Cランクの撤退ライン|いつ、どう手放すか
死に筋を放置すると、キャッシュが在庫と保管料に固定化されます。それだけでなく、余剰在庫の増加がIPIを下げ、Aランク商品の新規納品プラン作成まで制限される可能性もあります。Cランクの処分は「その商品単体の収益最適化」だけでなく「Aランクの補充能力を守るための打ち手」として位置づけましょう。そうすることで、社内での優先度合意が取りやすくなります。
IPIと保管制限の関係は次の記事で詳しく解説しています。

こちらの記事もご参照ください
IPIスコアと保管制限|下がる原因と回復手順
IPIスコアが下がると何が起きるのか、閾値400の意味、容量制限との違いを整理し、ストランデッド解消など具体的な回復手順を数字つきで解説します。
撤退を即決すべき条件は次の3つです。
| 条件 | 理由 |
|---|---|
| 賞味期限・使用期限が近い | 期限切れは廃棄一択になり損失が最大化する |
| 季節商品で来季まで持ち越すと陳腐化する | トレンド・デザインの価値が来季には失われる |
| 保管手数料が販売利益を上回る | 持ち続けるほど損失が積み上がる |
該当するSKUは、次の順序で処分手段を検討します。
- 価格を下げて売る(単品値下げ・数量限定タイムセール)
- 在庫処分セール(在庫処分タイムセール)を利用する
- 自己倉庫または他販路へ返送する
- 廃棄する(所有権放棄・再販不可)
クーポンやタイムセールを使う場合は、割引によって本当に利益が残るかを事前に確認しておく必要があります。

こちらの記事もご参照ください
クーポン・タイムセールの費用対効果を検証
クーポン・タイムセールは2025年6月の手数料改定で損益構造が変わりました。単価・粗利率別の損益分岐と使いどころを数字で解説します。
Cランクに入った時点で放置せず、月次などの定期レビュー対象に乗せる運用も欠かせません。ABC分析は一度やって終わりの作業ではなく、判定の更新頻度そのものが効果を左右します。
出品の終了方法にも段階があります。再販予定がある季節商材は「在庫切れ」や「出品を終了」に留めます。再販の可能性が完全にない廃盤品だけを「商品と出品を削除」します。削除するとレビューや販売履歴が失われるため、かつてAランクだった商品を安易に削除しないよう注意してください。

こちらの記事もご参照ください
セラーセントラル在庫管理画面の使い方|出品ステータス
セラーセントラルの在庫管理(全在庫の管理)画面で、出品ステータス6種類の意味とフィルタの使い方、検索対象外の見つけ方、複数商品の一括編集や一括削除の実務上の手順を実例つきで解説します。
Aランクだった商品が急にCランク化する実例
ABC判定は固定値ではなく、外部要因で短期間に崩れることがあります。
日本語版のセラーセントラルフォーラムには、こんな投稿があります。ある出品者が、推定「倒産した専門問屋からの在庫買取」とみられる商品を、45点以上も大量出品しました。価格は1個1,500〜3,000円で、従来価格の半値以下でした。カート獲得率とは、カートボックス(「カートに入れる」ボタン)を自社の商品が獲得できる割合のことです。この事例では、既存セラーのカート獲得率と価格が崩壊しました。
相乗り(他の出品者が、自社が作った商品ページに同じ商品として出品してくることです)が起きると、価格競争に巻き込まれることがあります。今回の投稿では、対処として次のような方法が共有されていました。メーカーに正規流通からの流出を確認する、他販路へ多角化する、セット化して相乗りのハードルを上げる、競合の在庫が尽きるまで待つ、といった方法です。好調だったSKUが、自社の努力とは関係なく外部要因でC化することもあるという実例です。
カート獲得率の崩落に気づいたら、まず原因が自社側にあるのか外部要因なのかを切り分けます。

こちらの記事もご参照ください
カートボックスを失う原因と復旧手順
カート喪失は価格・配送・在庫・ODRの順に切り分けます。売上の7〜8割を左右する仕組みと2026年7月の制度変更、復旧の実行手順を数字つきで解説します。
相乗り(ハイジャック)が原因であれば、正規の排除手順で対応します。

こちらの記事もご参照ください
相乗り出品(ハイジャック)の排除手順を解説
自社商品ページへの相乗り出品を排除する正規ルートと、ブランド登録・Report a Violationの使い方、商標がない場合の代替手段まで手順つきで解説します。
もう一つよくある失敗が、これまでの売れ行きをそのまま伸ばして将来の数量を見積もることです。月10〜20個売れていた商品を「イケる」と判断し、次の仕入れで一気に数百個をFBA納品したとします。すると競合増加や広告停止による露出減少が重なり、販売ペースが半分以下に低下しました。その結果、キャッシュが在庫と保管料に固定化された、という例が報告されています。発注量は過去の勢いだけで決めず、分割発注や在庫回転の確認を組み合わせることが重要です。
死に筋の整理でアカウントを飛ばさないための注意点
Cランクの在庫を整理する際には、注意したいリスクがあります。バリエーションとは、色やサイズなどが違う商品を1つの親ASINにまとめる機能です。この機能を使って、売れていない子ASINを売れている親ASINに紐付けようとする手法があります。レビューやランキングの恩恵を受けるのが目的ですが、意図的でなくても、アカウント停止という重大なリスクを伴います。
POINTPOINT サイズ属性にシステムが認識できない文字列を入力したことが「矛盾した子バリエーション」と判定され、2か月以上・30回以上の情報提出を行ってもアカウント停止が解除されず、協力した知人のアカウントまで連帯停止に至った実例が報告されています。バリエーションの整理は正規の手順に沿って慎重に行う必要があります。
この手法は実際にレビューの流用を狙っていなくても、入力ミス一つで規約違反と判定されるリスクがあるため推奨しません。バリエーションを整理する際は正規の手順に従ってください。

こちらの記事もご参照ください
バリエーション(親子ASIN)が崩れたときの直し方
親子ASINの誤統合・BSR消失・レビュー急減の原因切り分けと復旧手順を、フォーラム実例と2026年のレビュー共有ポリシー変更を踏まえて解説します。
また、単月の売上構成比が小さいだけで即座にCと切ってしまうのも危険です。新規商品や季節商品のオフシーズン品に加え、他商品の併売の受け皿になっているSKUもあります。これらは単体の構成比だけでは、実態より低く見えることがあります。

こちらの記事もご参照ください
Amazon併売分析で客単価を上げる方法
Amazon併売分析(マーケットバスケット分析)の見方と、判明した「一緒に買われる商品」をセット化・購入割引プロモーション・広告の商品ターゲティングに活かして客単価を上げる具体的な手順を解説します。
SKU単位のABC分析は、週次・月次の売上分析ルーティンの一部として組み込むと運用が安定します。

こちらの記事もご参照ください
Amazon売上分析のやり方|週次ルーティンの型
Amazonの売上分析はどのレポートで何を見ればよいか。売上方程式による原因の切り分け方とレポートの役割分担、週次10〜20分で回せる分析ルーティンを手順で解説します。
まとめ
SKU単位のABC分析では、粗利ベースの評価軸を基本にすることが重要です。売上構成比だけで判断すると、赤字SKUを売れ筋と誤判定する危険があるためです。
データはセラーセントラルの無料レポート2本で組めます。売れているのに在庫が薄いSKUは、補充を急ぎます。在庫が多いのに売れていないSKUは、撤退ラインの3条件に沿って早期に処分を決めます。ABC判定は相乗りや仕入れ過剰などの外部要因で短期間に崩れることもあります。月次での再判定を運用に組み込んでおくと、機会損失と保管料の両方を抑えやすくなります。
よくある質問
ABC分析のランクはどのくらいの頻度で見直すべきですか
月次での見直しが目安です。Cランクに入った時点で放置せず、定期レビューの対象に乗せることで、死に筋在庫の固定化とAランク商品の補充遅れを防げます。
Bランク(見せ筋)はどう扱えばいいですか
売上構成比だけでなく、伸び率やローンチからの経過日数を見て判断します。新規商品は構成比が小さくても伸びている途中であることが多く、広告を早期に止めると育つ前に失速させてしまいます。
売上とは別に粗利でABC分析をする必要はありますか
必要です。カテゴリー別の販売手数料やFBA関連費用、広告費は、SKUごとに重さが異なります。そのため売上軸だけのABC分析では、赤字SKUを売れ筋と誤判定することがあります。売上軸と粗利軸のランクがズレたSKUを優先的に点検してください。
Cランクの在庫はどの順番で処分すればいいですか
まず価格を下げて売ることを検討し、条件が合えば在庫処分セールを利用します。それでも動かない場合は自己倉庫や他販路への返送、最終手段として廃棄という順序で検討するのが実務上の一般的な進め方です。
見るだけで終わらせない、Amazon運用ツール。
商品ごとの損益分岐ACOS・無駄な広告費の金額表示・在庫連動の自動制御まで。 広告の予算も入札もカタログも、この画面から直せます。
個別のAPI申請は不要。連携はボタン1つで、すぐにデータの取得が始まります。7日間、全機能を無料でお試しいただけます。
セラサポを詳しく見るあわせて読みたい
Amazon売れ筋ランキングの仕組みと見方
売れ筋ランキングは金額ではなく販売個数の「勢い」で決まります。更新頻度・ベストセラーバッジの条件・101位以降の確認方法を実例つきで解説します。
Amazon広告マッチタイプの使い分け方
部分一致・フレーズ一致・完全一致の違いと、オートターゲティングから絞り込んでいく具体的な手順、完全一致だけに絞ると広告が失速してしまう理由を公式仕様と代理店の実例をもとに解説します。
スポンサーブランド広告(SB)の始め方|登録要件とSPとの違い
SB広告はブランド登録済みが条件です。見出しやロゴの入稿規定、キャンペーン作成手順、SPとの使い分けを実務目線でまとめました。
SB動画広告はいつ使う?SPとの違いと効く条件
スポンサーブランド動画(SBV)とスポンサープロダクト(SP)の役割分担、出稿条件、効果が出る条件と審査のポイントを実例つきで解説します。